『日常』は、ゆるい日常アニメだと思って見始めると、ちゃんと裏切られる。
舞台はざっくり2本立て。
時定高校のゆっこ・みお・麻衣の学校生活と、東雲研究所のはかせ・東雲なの・阪本さんの暮らし。
この2つが並走しながら、町のあちこちで、淡々と、ありえない出来事が起きていく。
淡々と、がポイントだと思う。
あれだけ物理法則が置いていかれてるのに、当人たちの顔がだいたい真顔なので、こっちの感情だけが置いていかれる。
そして置いていかれたまま笑うしかなくなる。
この記事では、ネタバレなしで以下を書きます。
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どんな作品か
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見どころ
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好みが分かれそうな点
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おすすめできる人/おすすめしにくい人
どんな作品?
中心は2つ。
時定高校
妄想が膨らみがちなゆっこ、みお、麻衣を軸にした学校の日々。
東雲研究所
はかせ、東雲なの、喋る猫の阪本さんが暮らす、ちょっと変わった日々。
どちらもやっていることは、今日あったことを描いているだけ。
なのに急に、現実が追いつかないスピードで話が転がる。
些細なことのはずが、妙にスケールが大きくなる。しかも真顔。
こういうズレが、最初から最後までずっと続く作品です。
見どころ(ネタバレなし)
1)普通の顔で非常識を差し込んでくる、そのズレ
この作品、驚かせ方が少し変です。
大声のツッコミで笑わせにくるというより、驚く状況を日常の手触りのまま置いてくる場面が多い。
だから笑いどころが、遅れてくる。
見た瞬間より、理解した瞬間にじわっと広がる。
気づいたら声が出てるやつです(言い回しだけ違うけど、現象としてはそれ)。
2)動きがやたら本気で、無駄に迫力がある
些細な出来事のはずなのに、作画も演出も本気。
真面目な顔で変なことをする、というズレに、画面の豪華さが乗る。
結果、どうしてそこにそんな熱量を……という面白さが生まれる。
制作が京都アニメーションという時点で、変な安心感まである。
3)キャラが多いのに、空気が散らない
ゆっこ・みお・麻衣の3人、はかせ・なの・阪本さんの3人。
この時点で濃いのに、周辺人物もどんどん増えていきます。
でも不思議と、空気が散らない。
誰が出る回でも、作品全体の温度が保たれていて、場面ごとに違う種類の笑いが出てくる。
群像っぽさがあるのに、見失わないのが気持ちいい。
4)たまに混ざる、しみる回が印象を強くする
基本はギャグ。
なのに、ふとした瞬間に優しさとか、ちょっとした寂しさとかが混ざる回があります。
泣かせに行くというより、生活の中にある感情がちらっと見える感じ。
振れ幅が大きいぶん、そういう場面が妙に残る。
好みが分かれそうな点
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物語の大きなゴールへ一直線、という作りではありません。1話ごとの出来事を楽しむタイプ。
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シュール寄りの笑いが多いので、説明で納得して笑うより、何これ……を楽しめるかで相性が出ます。
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急に絵柄や表現が飛ぶことがあるので、落差が苦手だと合わない回もあるかもしれません。
こんな人におすすめ
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シュール/不条理寄りのコメディが好き
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真顔のまま変なことをする作品が好き
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いろんなキャラが出る群像っぽい日常を見たい
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全26話で区切りよく楽しみたい
おすすめしにくい人
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伏線回収や一本筋の長編ストーリーを最優先で見たい
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現実寄りの会話劇だけが好き
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笑いどころが分かりやすいコメディじゃないと厳しい
まとめ
『日常』は、日常の形を借りた意味不明の連続を、丁寧な映像と真顔でやり切るコメディです。
ロボも鹿もシャケもこけしも、同じ温度で混ざってくる。
そしてこちらだけが、置いていかれたまま笑う。
その感じが好きなら、たぶん最後まで楽しいと思います。
