最近、旅アニメを観るとだいたい景色が良くて、だいたいご飯が美味しくて、だいたい気持ちも前向きになる。
そういう流れに慣れていた。
でも、ざつ旅はそこだけを並べてこない。
予定どおりに進まない時間まで含めて、旅として見せてくるアニメだった。
移動がぐだぐだになる日もあるし、思いつきの寄り道もあるし、ひとり旅の気まずさと気楽さもちゃんと残る。
その現実味を抱えたまま、旅の手触りだけは不思議と残していく。そこが好きだ。
この記事で書くこと
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どんな作品か(ネタバレなし)
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見どころ
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好みが分かれそうな点
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おすすめできる人/おすすめしにくい人
どんな話?
主人公は、漫画賞の新人賞を取った漫画家志望の女子大生・鈴ヶ森ちか。
編集部に新作ネームを持ち込むも、まさかの全ボツ。そこで行き詰まった彼女が、ふと、どこか旅に出たいと思う。
ただし、ちゃんと調べて、ちゃんと計画して、ちゃんと観光する……ではない。
SNSで旅先アンケートを取ってみたら想像以上に反響が来てしまい、行き先はアンケート任せで決まっていく。
ひとりで出る回もあれば、友人と一緒の回もある。
ゆるいのに、ちゃんと旅の空気がある。そんな旅物語。
見どころ(ネタバレなし)
1)雑な決め方なのに、景色がちゃんと残る
行き先は投票で決まるし、準備も最小限。
だからこそ現地で見つけたものが、作り物っぽく見えにくい。
観光名所を順番に回る気持ちよさというより、移動の途中や予定外の場所で拾った記憶が積み上がっていく感じ。
作品側が行き当たりばったりな旅を前提にしていて、その潔さがある。
2)旅が息抜きで終わらず、創作の悩みに触れてくる
ちかの出発点は、描けない状態だ。
旅先での出来事がそのまま漫画に繋がる回もあれば、何も変わらない日もある。
この揺れがあるから、旅に出たら全部うまくいく、みたいな話にならない。
うまくいかない日も含めて、ただ出かけたという事実が残る。そこが地味に良い。
3)ひとり旅と複数旅で、空気がきちんと変わる
ひとりだと判断も失敗も全部自分に返ってくる。
友人がいると会話で寄り道が増えたり、見えるものが変わったりする。
この切り替えが毎回しっかり効いていて、旅の見え方そのものが変わる。
同じ旅でも、人数でこんなに温度が違うんだなと思わせてくる。
4)実在の土地が舞台になる楽しさ
実在の場所が出る作品なので、観ている最中に地図を開きたくなる。
第1話の旅先として会津若松が出てくるのも、その入口としてちょうどいい。
次の休みに行ってみる、に繋げやすいのは旅アニメとして素直に嬉しい。
好みが分かれそうな点
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大事件が連続する作品ではなく、小さな出来事が中心(刺激の強い展開を期待すると肩透かしになりやすい)
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雑さが前提なので、綿密な旅程やグルメ情報を求める人には合いにくい
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主人公の創作の悩みが軸にあるぶん、観光だけ見たい人だと重く感じる回が出るかもしれない
こんな人におすすめ
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旅アニメが好きで、移動や寄り道のリアルさも見たい
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予定を詰めない旅行に憧れがある
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創作(漫画・文章・絵など)で行き詰まる感覚に心当たりがある
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実在の土地が出る作品が好き(聖地巡りまで含めて楽しみたい)
おすすめしにくい人
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毎話、大きな山場や強い対立が欲しい
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旅は目的地でのイベントが最重要だと思っている
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しっとりした回より、ずっと賑やかなコメディを求めている
まとめ
ざつ旅は、行き先を雑に決めて出発するからこそ、予定外の出来事が起きる。
その作りを、逃げずにちゃんと最後までやる旅アニメだ。
旅の楽しさを映える場面だけにしない。
迷いも移動も気まずさも含めて見せる。なのに、見終わると自分もどこかへ出たくなる。
追いかけやすい放送・配信の導線があるのも含めて、今から入る人にも優しい一本。
